NonBenだらり

ぐうたらIT系ワーキングマザーの極めてだらけた記録です。

【教育と戦争】中学生が聞いた戦争体験

こんにちは。

今年は終戦70年ということで、さらに安全保障まわりの議論も熱くなっており、メディアでもいろいろ戦争に関する話題が多く取り上げられていますね。しかし、あの戦争を実際に体験した世代の方々はだんだんと数が少なくなり、その口から直接話を聞ける機会は減っています。

 少し重ためのトピックですが、今日は私が中学生の時の夏休みに課された宿題について書きたいと思います。

 

学校について(東京のプロテスタント系私立女子校)

中学受験をし、都内の私立の女子校に入学しました。当時は自分のいる環境があたりまえだったのでわかりませんでしたが、かなり特色のある教育を行う学校だったということが離れてからわかりました。

キリスト教に基づく教育を行っていましたが、それだけではなく思想的にもかなりリベラルでした。なにせ教員室にはいつも赤旗共産党機関紙)が置いてありましたから。入学式や卒業式といった式典にも日の丸や君が代は存在しませんでした。讃美歌を歌うだけです。そういった思想のせいか定かではありませんが、マカーシズムが吹き荒れた時代には何度か原因不明の火事の被害に遭っています。

週に1時間「聖書」という科目があり、聖書の教えを習うという名目でしたが実際は平和・反戦思想、あとはその他社会問題について考えることが少なくありませんでした。

高1の夏には広島への修学旅行があり、普通は宮島の厳島神社を見たりすると思うのですが、そういう観光は一切なく、3日間戦争学習漬けでした。原爆ドームから始まり、被爆者の方からお話を聞いたり、周辺の防空壕を見学したり、呉の旧海軍基地(現在の自衛隊)などなど。。。そういった教育方針が背景にあります。

 

戦争体験の聞き書き

たしか中2か中3の夏休みの宿題で例年課されていたのが「戦争体験の聞き書き」でした。祖父母や親戚知人など戦争を体験した人に当時の話を聞き、創作風の作文にしたてるのです。伝聞調の「祖父は○○と思ったそうです」とかではなく「和男の目には・・・のように映った」みたいに書きます。私の学校ではこの取り組みを長年続けていて、本や映画にもなっています。

 

戦争しない国が好き!

戦争しない国が好き!

 

 

私は祖母に取材しました。終戦当時20歳くらいだった祖母は北関東の軍事工場に動員されていました。農村部だったため食べ物にはそこまで困っていたわけではなかったそうですが、周りの男性たちが次々に召集されるたびに皆で千人針を縫い見送った体験を話してくれました。普段はあまり戦争の話などはしなかったので初めて聞く話ばかりで驚いたことを覚えています。戦争の記憶を世代間で直接伝承するという意味でも、有意義な課題だと思います。

ただ最初は、出征先の中国で「名誉の負傷」の経験をもつ祖父に聞きたかったのですが、どうしても話してくれなかったのです。おそらく孫に話して聞かせるには辛すぎる記憶だったのだろうと思いますが、生きている間に聞くことができなかったのは少し残念な気がします。

 

これからの子供たち

今でも母校でこの取り組みを続けているのかわかりませんが、今の中学生の祖父母で戦争体験を語れる人は少ないのではないでしょうか。そうなると、これからの子供たちは直接体験者から話を聞くことはできなくなります。できる限りを彼らに伝えていくのが、直接聞いた我々の世代の努めだと思っています。戦後70年、いつまでも戦後でありますように。

おしまい。